滲出性中耳炎/自声強調【治験例】|あん鍼灸院

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中耳炎

1.主訴

滲出性中耳炎/自分の声ばかり聞こえる(自声強調)

2.患者様

40歳代後半 女性

3.現病歴と症状

1)3~4年前から、毎年1~4月になると花粉症とともに「滲出性中耳炎」を引き起こしていた。

2)2016年2月、「自分の声ばかりが聞こえる」ようになった(自声強調)。鼻声に聞こえるが、二重には聞こえない。発症時には病院で「耳管狭窄症」と診断され、耳管にチューブを通す治療を受けた。大変痛かったようだ。「自分の声ばかり聞こえる」症状に効果はなかった。その後、「開放性耳管」と診断されチューブは外した。

2月中旬、「滲出性中耳炎」に対して鼓膜にチューブを挿入して貯留した液を外耳側に出していた。耳閉感は取れたが、「自分の声ばかり聞こえる」症状は取れなかった。


3)頭の左を上にして横臥するとボコボコと耳が鳴る。横臥するとシャーという耳鳴りもするが、日中は気にならない。

4)他の人の声は普通に聞こえる。車のエンジン音や食器のあたるカチャカチャという音やエアコンの空調機の風の音が聞こえすぎる。

5)鼻水が出ると「自分の声ばかり聞こえる」ようになりやすい。

このような背景のもと、病院での治療で治ることはないと考え、鍼灸での治療をしたいと来院されました。

4.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から体と病、および経脈十二経の「陰陽虚実」を診て治療方針を決定。鍼で全身の気の調整を行う治療を開始。病は「体質改善」して治すとよく言われます。病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあり、それを治すことが「体質改善」です。

(5回目)前回の治療後1週間、症状が少し軽くなっている。

(7回目)2月から鼓膜にチューブを挿入している。患者さんによると「自分の声ばかり聞こえる」症状は1月にはなかったようで、2月時点で起こったか、それは分からないとのことだった。鍼治療を続けた。

(9回目)滲出液がなくなってきた。病院では鼓膜に挿入していたチューブを抜いた。穴が自然に塞がらないときは手術するということだった。鍼治療を続けた。

(10回目)自分の声ばかり聞こえる」という症状が軽減してきた気がするとのこと。この症状はチューブを挿入する前から「自分の声ばかり聞こえた」ので、チューブが原因ではない。

(11回目)症状が気にならなくなった。

(13回目)滲出性中耳炎がまた、起こった。病院で鼓膜を外耳側から見ると滲出液が溜まっている影が見えた。鍼治療を続けた。

(16回目)中耳鼓室の滲出液がなくなった。

(18回目)「自分の声ばかり聞こえる」という症状はもうない。耳鳴りもない。脈状も正常に戻っていた。1、2ヶ月後にチェックに来るよう伝え、治療を終了した。

「滲出性中耳炎」が治り、中耳鼓室内の血管からの血漿の滲出が止まった。さらに、「自分の声ばかりが聞こえる」という症状も治った。この症状は、耳管が解放していたためである。鼻声が聞こえるということからも推測できる。この原因は、耳管に陰(遠心性)の力が働き、常に解放していたためと考える。中耳鼓室内の血管からの血漿滲出も同じく遠心性の力が働き、血漿が血管から滲み出したものである。症状が治癒し耳管に陽(求心性)の力が働き、通常は閉じているようになった。中耳鼓室内に滲出した血漿も血管内に戻ったと考える。これは鍼治療が経絡間の平衡をもたらした結果である。

以上

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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院

香川県高松市木太町1247-11
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