潰瘍性大腸炎(大腸潰瘍)【治験例1】| あん鍼灸院

潰瘍性大腸炎

1.主訴

潰瘍性大腸炎(大腸潰瘍)

2.患者様

30歳代 女性

3.症状と現病歴

表1.症状と現病歴

病名 症状と現病歴
潰瘍性大腸炎

(大腸潰瘍)

2年前下痢、腹痛、血便が出て、2つの病院を受診した。水様便の中に血液が出ていて便器の中が真っ赤になった。数日で症状が落ち着いたので、病院では大腸内視鏡検査をせずに様子見となった。

7ヶ月後再発。前回と同じ症状で吐瀉もあった。大腸内視鏡で検査し「潰瘍性大腸炎」と診断された。患部は、直腸と結腸の付近に、傷のように白い潰瘍が見えた。少し赤みがある。現在、服薬中である。腹痛と下痢は止まっている。検査で便に少量の血液が出ている。病院で潰瘍性大腸炎について説明があった。この病気は自己免疫疾患で、原因が不明なので完治しないと言われた。薬を飲んで生活の質を保とうと言われた。さらに病気は「難病」指定されていると言われた。患者様は一生、薬を飲み続けることや症状の悪化が不安と言う。それで当院に来られた。

4.「潰瘍性大腸炎(大腸潰瘍)」

1)潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜や組織に『潰瘍』ができたものです。典型的な症状は、粘液と血液を含む激しい下痢(真っ赤な血便)、高熱、腹痛、体重減少、貧血です。病変は直腸から結腸全体に起こります。この病は内因性の病で大腸炎というより「大腸潰瘍」と呼んだ方が良いと思います。外因性の病ではありません。

2)原因

現代医学では原因不明と言われ難病指定(97)されています。当院で考えるこの病は大腸の潰瘍で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、小腸潰瘍そして皮膚潰瘍と同じ原因と考えます。つまり、大腸を形成する組織の細胞レベルでの部分的、あるいは連続的欠損あるいは欠如です。

組織や臓器は毎日、大量の細胞が自死(古くなって自分で死にます)し、そこに新しい細胞が入ります。これをずっと繰り返していて臓器はいつも新鮮で、機能と健康を保っています。『潰瘍』は組織の新生細胞が細胞の自死の後に入ってこなくて、組織に空白部が現れる現象をいいます。従って、組織が崩れて修復されません。従って、いつまでも患部が癒えず、組織は形成されず欠損します。それが皮膚の場合は「皮膚潰瘍」、胃の場合は「胃潰瘍」、十二指腸の場合は「十二指腸潰瘍」、小腸の場合は「クローン病」と呼んで「小腸潰瘍」、大腸の場合は「潰瘍性大腸炎」と呼んで「大腸潰瘍」のことです。つまり、この病は消化器管の細胞新陳代謝の低下に因るものです。従って、免疫疾患や自己免疫疾患というものではありません。そこで細胞の新陳代謝の低下を治療しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1.大腸のモデル図(引用;難病センター)

5.「潰瘍性大腸炎(大腸潰瘍)」の治療結果

病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあり、それを治すことが「体質改善」です。症状と脈状が正常になるまで鍼術で体質改善を続けた。

その経過を以下に示します。

表2.治療経過

治療回 治療結果
初回 脈診や問診等から体と病、および経脈の「陰陽虚実」を診て治療方針を決定。鍼で全身の気の動態平衡を調整する経絡治療を開始し体質改善を目指した。目標は、再発がない根本治癒です。
6回目 血便、下痢、腹痛はなく推移している。
9回目 治療開始から3ヶ月経過した。病院で内視鏡で検査したところ、粘膜上の白い膜、大腸の赤いまだら状態がなくなって大腸粘膜が修復されていた(写真1、写真2)。写真の左側は2年前の大腸画像、右側は現在の大腸画像です。写真1は下行結腸部で、写真2は直腸部です。病院で検査した「便カルプロネクチン」のデータは最も悪かった時期には2950あったが、現在、135に低下している。患者様はドクターから良くなっていると告げれた。当院は鍼治療によって完全に体質改善させる根本治癒を目標に続けた。

写真1.下行結腸(写真の左側は2年前の大腸画像、右側は現在の大腸画像 写真は患者様からの提供)

写真2.直腸(写真の左側は2年前の大腸画像、右側は現在の大腸画像、写真は患者様からの提供)

13回目 病院で前回採血した血液検査結果が良くなっていると告げられた。さらに別の病院への移転を勧められた。再度、大腸内視鏡の検査を行った。前回と同様に白い膜はもうなかった。潰瘍は治っていて、難病申請は却下されると告げられた。
21回目 大腸潰瘍は問題なく推移している。立ち上がるとフワフワした。血の気が引いたという。貧血である。対応し以降、症状はなくなった。
27回目 問題なく推移している。脈診で経脈の変動をみると、それがなくなり平衡状態に近づいていた。
31回目 脈が全て良くなり平衡状態になった。他の症状も消えた。
33回目 体質改善を終え、全ての症状が無くなっている。脈状も問題がない状態が続いている。治療を終了した。

以上

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脈診はり経絡治療専門
あん鍼灸院

香川県高松市木太町1247-11
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