1.主訴
思春期早発症
2.患者様
7歳 女性
3.症状と現病歴
患者様は、現在、満7歳で早発思春期は6歳から起こっている。以下の様な症状がある。
表1.思春期早発症の現病歴
思春期早発症 | 現病歴 |
乳房が膨らむ | 1)当初、胸にしこりがある程度だったが、現在(7歳)、乳房が膨らみ始めている。
2)月経はまだない。 3)女性ホルモンは測定できていない。 病院からは場合によって、ホルモン剤で治療すると言われている。患者様の乳房が膨らんできたら、病院に来るように言われている。しかし、ホルモン治療は後遺症の可能性をドクターが示唆するので病院へは行っていない。 |
乳歯が生え変わった | 上歯は2本、下歯は4本の乳歯が既になくて、合計6本の乳歯が生え変わっている。前歯の矯正をしている。 |
土踏まずができている | 7歳で土踏まずができている。靴屋がびっくりしたという。 |
骨格の成長が速い | 病院でのX線撮影から骨格が9歳児と言われている。母指は9歳くらいに伸長している。 |
1)定義
思春期とは、一連の身体的な変化が起きて成人の身体的特徴と生殖機能が備わっていく期間のことです。男児は10~14歳に、女児は8~13歳に思春期が始まります。正常であれば、思春期にこれらの変化が次々に起きて、体は性的に成熟していきます。
現代医学では、男児で9歳以前に、女児で8歳以前に始まる性的成熟をいう。日本人の平均と比べて、2〜3年以上早い思春期徴候がある。
東洋医学では、経絡の完成度から見て、男児は数え歳8歳、女児で数え歳7歳以前を幼児としています。
2)症状
男児なら精巣発育、陰毛発生、腋毛、ひげや声変わり、女児なら乳房発育、陰毛発生、月経の2つ以上存在する、あるいは早期の思春期徴候が1つの場合でも、年齢不相応な身長の著しい伸び、あるいは骨成熟の明らかな進みなども含む。身長期に思春期が完成することで低身長となることがある。
3)原因と治療
3-1)東洋医学
①病因
思春期早発症は、概して気の変動、つまり、性徴を促進する経絡の気の動態平衡が均衡していません。脳の指令ではなく、体にある電気的制御システムである経絡の平衡、すなわち陰陽(つまり遠心性と求心性のバランス)が整っていないことが病因です。
②治療
陰陽(つまり遠心性と求心性のバランス)を整えるために、経絡の制御システムを鍼で気(電気エネルギー)の調整をします。東洋医学の場合、原因と治療方針は同一です。原因は脈診で決定します。原因が分かれば治療方針は同じです。
3-2)現代医学(参考)
①病因
脳の構造的異常または腫瘍が原因である可能性があるとしている。思春期が始まるきっかけは現代医学では、わかっていないという。MRIなどの脳の検査で、異常がない体質的なものが多いと現代医学では言われていて、原因がわからないという。
②治療
思春期早発症の種類にもよる様ですが、一般にホルモン療法が行われる。治療は思春期の進行をストップさせるLH-RHアストニアという刺激ホルモンの拮抗薬(1ヶ月に一度注射する)を投与するという。これは卵巣や精巣を刺激しホルモンを出させるLHやFSHを抑制するものである。逆に身長の伸びを悪くすることもあるという。
5.「思春期早発症」の治療結果
病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあり、それを治すことが「体質改善」です。脈が正常になるまで鍼術で体質改善を続けた。
患者様は、病院でホルモン治療を行うことをせず、鍼で治したいと来院されました。この思春期早発症は治癒し、患者様は通常の生活をしています。その治療経過を下記に示します。
性徴が、脳やホルモンによってコントロールされているという捉え方が一般的ですが、経絡鍼治療をした結果から疑わしいと思います。
表2 治療経過と結果
症状 | 現病歴と治療経過 | 治療結果 |
乳房が膨らむ | 1)当初、胸にしこりがある程度だったが、現在(7歳)、乳房が膨らみ始めている。
2)月経はまだない。 3)女性ホルモンは測定できていない。 病院からは場合によって、ホルモン剤で治療すると言われている。患者様の乳房が膨らんできたら、病院に来るように言われている。しかし、ホルモン治療は後遺症の可能性をドクターが示唆するので病院へは行っていない。 |
治癒。
1)5回目の治療で胸のしこり(1cm)がなくなった。さらに膨らんでいた乳房が小さくなり年齢並みになった(母親の観察による)。 2)19回目でまた、乳房が膨らんできて痛いという。治療方針を変更した。22回目では膨らみが小さくなり、27回目で元に戻った。 31回目で治療を終了した。 |
乳歯が生え変わった | 上前歯2本、下歯は4本の乳歯が既になくて、合計6本の乳歯が生え変わっている。前歯の矯正をしている。 | 左記以上の進行はなかった。 |
土踏まずができている | 7歳で土踏まずができている。靴屋がびっくりしたという。 | 左記以上の進行はなかった。 |
骨格の成長が速い | 病院でのX線撮影から骨格が9歳児と言われている。母指は9歳くらいに伸長している。 | 左記以上の進行はなかった。 |
以上
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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院
香川県高松市木太町1247-11
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