1.主訴
緑内障
2.患者様
50歳代 女性
3.症状と現病歴
| 病名 | 症状と現病歴 |
| 緑内障 | 8年前、両眼の眼圧が23に上昇した。現在は13。視野検査では、左目の内側下に見えないところがある(視野検査表;下図(2020/6/23付))。左側の黒い部分は視神経乳頭がある盲点で、見えませんが正常です。同時に口渇、ドライアイ、口苦がある。病院では毎月の眼圧検査と、6ヶ月に一度の視野検査をしている。これまで8年間、病院で治療をしてきたが、治療の効果が殆ど見られないと患者様はいう。
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| 逆流性食道炎 | 苦い胃液が上がってくる。食道と胃の境界に白い輪の炎症痕がある。 |
4.「緑内障」の原因究明
現代医学では、『緑内障』は眼球内に栄養や酸素などを運ぶ眼の体液(眼房水)の供給量と排出量の平衡が失調したもので、供給量が多くなると眼内圧が上昇するために、網膜にある「視細胞」が損傷すると考えられています。その原因は、眼房水の静脈への出口であるシュレム管が詰まっているためと言われている。しかし、そのシュレム管を手術で解放してもすぐに眼圧が再び上がってきます。
さらに眼圧が正常な緑内障患者が半分を占めるというのを聞くと、その原因が眼房水の出入の問題ではないと感じます。このような眼球の中から外に向かって眼房水の圧力が上昇するという『内圧力の問題ではなく、眼に外圧力がかかり網膜が圧迫される』ことで酸素や栄養が途切れて視細胞が死ぬと考えた方が理にかなっています。外圧をかける組織は強膜という眼の最外層です。

まず、眼球を見てみましょう。眼球の最外膜は「強膜」という膜で覆われています。その内側に網膜、すなわち視細胞が存在します。視細胞は桿体細胞と錐体細胞からなります。その内側には硝子体という極めて透明で均一な組織があります。ここに外からの光が通過します。この硝子体は字の通りガラスのような透明感を持ちゲル状の固い物質でできています。解剖学ではジェル状の柔らかい物質と表記がありますが、実際に新鮮な魚の眼を真二つに切って見ると固いほぼ球状のものであることが分かります。決して柔らかいゼリーのようなものではありません。ところが強膜は収縮します。その時に強膜と固い硝子体との間にある網膜とその毛細血管が圧迫され収縮します。それによって酸素や栄養素は遮断され網膜の視細胞は瀕死状態に、若しくは死滅します。これが『緑内障』と考えています。今般の緑内障を治せた治療方針が、そのような現象を解決するものであるからです。
5.「緑内障」の治療結果
病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあり、それを治すことが「体質改善」です。上記の考え方を元に鍼術で治療を行い、患者様の体質改善を続けました。
その経過を以下に示します。
| 日付 | 経過 | 結果 |
| 2020/6 | 治療前の視野検査(ブランク)(2020/6/23)
視野検査表、右図(3.症状と現病歴と同じデータ) |
左目の内側下に見えないところがある。黒みの強いほど見えていない。そこは、視細胞が死に欠損、もしくは視細胞機能が弱体化している場所である。
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| 2020/9 | 眼の見え方が明るくて軽くなってきたという。同時に口渇、ドライアイ、口苦がなくなったという。「逆流性食道炎」の食道と胃の境界にある白い輪も解消した。症状もない。 | |
| 2021/1 | 視野検査(2021/1/16)
視野検査表、右図。
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視野検査表に基づけば、視野が拡大している。そして、左目の内側下の見えなかったところが薄くなって大変良くなっている。事実、日常で視野が欠けることはなくなった。
このことから網膜の視細胞が復活していることが分かります。つまり、視細胞機能が弱体化している網膜でも、再生できるということが分かりました。 緑内障は根治させなければ視野が徐々に狭まり、最悪の場合、失明します。早めの根本治療が不可欠です。
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以上
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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院
香川県高松市木太町1247-11
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