1. 主訴
顔面麻痺
2.患者樣
30歳代後半 男性
3.現病歴と症状
8月に発症。朝、起きると瞬きができなくなっていた。夕方には顔が麻痺していた。
市内の総合病院に行き、「顔面神経麻痺」と診断され入院した。治療はステロイドパルス療法を行い、ステロイド剤を点滴していた。退院後も麻痺が治らないので、鍼灸を受けてみようと来院。来院時には発症から既に2ヶ月が過ぎて、慢性症に移行していた。
来院時、次の症状があった。
1)眼;眼を閉じることが完全には出来ない。眼を無理に閉じようとすると眼球が上に向く(兎眼)。
2)額の皺;額に皺を作ろうとしても麻痺側に皺が出来ない。
3)口唇;上下の唇の間が開き、口角が下がっている。水を飲むと口から漏れはしない。口笛を吹くことが出来ない。
4)鼻唇溝;麻痺側の鼻唇溝(鼻から出て口の横を走る皺)が消えている。
5)味覚;味覚はあるが鈍い。薄味の食材は味が分からない。
6)聴覚;異常はない。
7)涙腺;異常はない。
4.治療結果
(1回目)脈診から診た変動している経絡に対して気の調整を施し、全身の経絡調整を行った。
(3回目)顔のこわばりが変化した。鼻唇溝が見えるようになった。
(4回目)大きい食物を口を大きく開けて食べれるようになった。味覚が幾分、戻ってきた。
(6回目)下にうつむいたとき、顔の筋肉が’だらー’と垂れ下がっていたのが、少し緊張感が出て引き締まった。食物を食べるときの感覚は治療前とは違う。また、口の周りが動き出した。
(10回目)頬の筋肉の神経が通ったような気がする(顔面神経麻痺の患者様はだいたい、このように表現する)。うつむいたときの筋肉の垂れ下がり方がさらに減少した。
(11回目)口角が上がってきた。眼を閉じる力が強くなってきたのか、頭髪を洗うとき、眼に水が入らなくなった。さらに、筋肉の垂れ下がり感が減少した。
(12回目)口角、眼の閉じ方が、この1,2週間で格段に良くなった。しかし、額の皺はまだ、作りにくい。
(15回目)鼻唇溝がさらに出てきた。
(16回目)額の筋肉が動き出した。
(20回目)鼻を膨らませることができなかったが、ようやくできるようになった。
(27回目)額に力が入るようになり、皺も作れる。さらに眉を動かすことができるようになった。眉間にも皺を作れる。顔の可動域が拡がり、顔に力を入れることができるようになった。
(30回目)鼻唇溝がはっきりでてきた。開口が左右対称にできるようになった。額・眼・口・鼻・頬ともに見た目にも症状はない。この後、自覚症状が少し感じられるとのことで2週間に1度の治療を20回程、続けられました。治癒。
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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院
香川県高松市木太町1247-11
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