手の麻痺(手根管症候群)【治験例】|あん鍼灸院

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1.主訴

手の麻痺(手根管症候群)

2.患者樣

70歳代前半 女性

3.現病歴と症状

1)2年半前から、右手の母指と他の指を対立させ合わせる(輪っかを作る、OKサインを作る)ことができず、母指と示指で小さいもの、例えば、コインをつかむことが難しい。最初の病院では腱鞘炎と言われ、鎮痛剤を服用していた。しかし、治らなかった。
2)母指球(母指の付根にあるふくらみ、母指対立筋や短母指屈筋など)が小さく萎縮し、平坦になっている。筋肉が少なくなっているために細かい作業ができない。
(写真)萎縮した母指球


3)現在の病院では、手術をするように何度も勧められている。しかし、この手術はしたくないので、鍼治療で治したいと来院されました。

4.手の麻痺;手根管症候群とは

1)症状
示指と中指を中心に痺れや痛みがでる。痺れは母指や薬指にでることもある。母指の付根のふくらみ(母指球)が萎縮し、痩せてくる。ボタンをかけるなど細かい作業ができなくなる。さらに、母指と他の指を対立する、例えば、OKサインを作ることができにくくなる。

2)原因
手掌(手のひら)の下端(手首ではない)に横手根靭帯(屈筋支帯)という板状の靭帯がある。この下には手根管というトンネルが作られている。その手根管の中を多くの腱と正中神経が通る。つまり、この腱と正中神経を守るために横手根靭帯(屈筋支帯)がある。しかし、以下に述べる原因によって、手根管の中で正中神経が圧迫されて神経障害が起こり、1)の症状が起こる。

横手根靭帯(屈筋支帯)が正中神経を圧迫する原因は、
A.東洋医学
横手根靭帯(屈筋支帯)に陽のエネルギー(求心力)が働き、それが収縮する。それによって正中神経が圧迫される為に起こる。その原因は、全身を流注するエネルギー、すなわち気の変動による。
B.現代医学
手首の使い過ぎとし、原因不明としている。

3)治療
A.東洋医学
鍼灸経絡治療では、陽のエネルギーの求心力に対して陰のエネルギーである遠心力によって、横手根靭帯(屈筋支帯)を緩め、元に戻します。その方法は、経絡の気の変動に対して、気の調整を施します。手根管は元の状態に戻り、正中神経も元に戻ります。
B. 現代医学

横手根靭帯(屈筋支帯)手根管開放術という手術で切ることによって、手根管トンネルを開き、圧迫を取ります。しかしながら、手根管が開放されるので、横手根靭帯(屈筋支帯)が腱や神経を防御する機能は失われます。

5.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から体と病、および経絡の「陰陽虚実」を診て治療方針を決定。変動経絡の気を調整した。右手母指球が萎縮し、ボタンをかけるなど細かい作業ができない。さらに、母指と他の指を対立することがうまくできない。これを解決することが、まず、最初である。

(5回目)以下、同様に治療方針に基づいて鍼で経絡の気の調整をしてゆく。右手の母指と他の指を合わせ、力を加える対立運動のリハビリもするようにした。なかなか、うまくできず、もどかしいようだ。リハビリによって母指球をふっくらと復元する。同じ方針で治療した。

(8回目)鍼治療の効果が出てきてボタンが以前よりうまく掛けられるようになった。対立運動を素早くできるようになってきた。

(11回目)対立運動がし易くなってきた。力をグッと加えることができる。服のボタンもうまくかけれるようになってきた。

(12回目)右手の母指と他の指を順にパッと素早く対立するように運べるようになった。

(13回目)少しだが母指球の筋肉が付いてきた。

(15回目)対立させる力が、かなり強くなってきた。脈の変動がすべてなくなった。平常状態になったので治療を終了した。母指球復活のためにリハビリは続ける。

以上

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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院

香川県高松市木太町1247-11
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