『ヘバーデン結節』【治験例11】|あん鍼灸院

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1.主訴

ヘバーデン結節

2.患者

40歳代後半 女性

3.現病歴と症状

1)5ヶ月前から右母指と左示指の第1関節に熱感、腫れ、曲がりにくさ、および火傷をした時のようなジンジンする痛みが出てきた。

2) 運転時に自動車のハンドルを持ち続けると痛みが出る。タオルを絞ったり瓶の蓋を開ける時、手に力が入らない。また、鉛筆や箸を使う時、指の細かい動きが難しい。箸を落とすこともある。

3)これは、 「へバーデン結節」です。関節に骨の盛り上がりや突起状の骨棘が発症します。

4.ヘバーデン結節

ヘバーデン結節、またはブシャール結節は指の第1関節、または第2関節に発症します。特に、第2関節に発症したものはブシャール結節と呼ばれています。ほとんどが示指から小指にかけての第1関節や第2関節が膨隆し赤く腫れ、さらには関節内に骨棘を形成し、指が曲がったり脱臼します。痛みを伴い、第1、2関節を指でトントンと叩くと関節内に痛みを感じます。また、母指にみられることもあります。動きが悪くなったり、痛みのために強く握ることが困難になります。その結果、指で細かい作業ができなくなります。

また、関節付近に水泡が出ることがあります。水泡が裂け内容物が出ます。また、内出血のようになることもあります。これを「ミューカシスト」といいます。関節内に溜まった体液が皮膚表面に細い管を形成して出てきます。かなりの痛みを伴います。これは、すべての方に発症するわけではなく、特定の体質の方に発症します。

ヘバーデン結節は、病院にまず、行かれると思いますが、病気のパンフレットを渡されるなど治療方法がないことを告げられます。それでも手術療法として、関節固定術・関節形成術がありますが、関節は固定され動かなくなります。

この病は、関節内に求心的に骨棘が形成されたり、関節外にも骨細胞が増殖する結果、起こります。それぞれの状況から治療方針が決定されますが、その中心は脈診で診断されます。この病は広範囲の体質に発症し、治療方針の決定に時間を要することがあります。それが決定されると痛みと骨形成の進行を止めることができます。しかしながら、すでに形成された骨棘などは小さくなったり無くなることはありません。ですから、早めの治療が望まれます。放置されたり、病院でも治療をしてもらえないので病の多くは進行しています。

5.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から体と病、および経脈の「陰陽虚実」を診て治療方針を決定。鍼で全身の気の調整を行う治療を開始。病は「体質改善」して治すとよく言われます。病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあり、それを治すことが「体質改善」です。初回の鍼治療を行う。

(2回目)前回の治療後、以前からある身体が重く風船のように張った感じが消えた。指の痛みは火傷をしたようなジンジンした痛みから、かゆいような痛みに変化してきた。

(4回目)指にピリピリした痛みはあるが、痛くて仕方がないと思う回数は減った。指の腫れ、熱感は変わらない。
(5回目)指に力を入れやすくなり、包丁などの大きいものは持てるようになった。ただし、その際の痛みはある。
(7回目)洗濯ばさみではさむ、鉛筆で字を書くなどの細かい動きができるようになってきた。しかし、雨が降ると指がピリピリと痛む。

(9回目)天気が良いとき指の痛みを忘れている時間が増えてきた。

(10回目)患者様から「以前は指の痛みのせいで色々なことができなかった。それを思うと今は夢のようです」という言葉をいただいた。

(11回目)指のピリピリした痛みは指にギュッと力を入れた時のみで、普段は感じなくなり熱感も減った。雨が降っても痛みはない。「ここ1~2年で一番体調が良い」(患者様)。

(14回目)指の腫れも痛みもなくなり、違和感を感じる程度になった。

(15回目)「今までは治療に行くのが待ち遠しかった。今はそれを忘れる程、指の痛みが減った」(患者様)

(20回目)当初あった症状が全てなくなった。脈の変動はまだ残っているので、もう少し鍼治療を続けることにした。

(22回目)脈の変動がなくなり、「体質改善」ができた。ヘバーデン結節は「根本治癒」したと考えました。治療を終了した。

初回から良好な反応が出て、少しずつ順調に良くなり続けた。指をよく使う職業に就いているため、仕事も順調に行くでしょう。

ヘバーデン結節だけでなく他の症状も一緒に治癒することで、患者さんの喜びも大きくなったようです。毎週きちんと治療に通い、症状の変化をその都度、報告して頂きました。症状を早く正確に治すには、このように治療者と患者様の連携プレーが大切だと思います。

以上

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