爪周囲炎/鼻孔の痒み【治験例】|あん鍼灸院

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爪周囲炎

1.主訴

爪周囲炎/鼻孔周囲炎

2.患者様

10歳代後半 男性

3.現病歴と症状

1)手指の爪周りが痒い。痒いため、意識的に鉛筆の芯で突いている(鉛筆の芯の色で爪周囲が黒くなっている)。病名をつけるとすれば「爪周囲炎」である。
2)左足母趾の爪は、病院で「巻爪」と診断されている。しかし、爪の巻き込みは見られない。よく観察すると、爪の生え際の爪母基(皮下で爪細胞が分裂しているところ)と爪の周辺が赤く炎症している。さらに爪側面の皮膚が化膿して、歩くと痛くて体育の時、特に痛い。これも「爪周囲炎」である。

3)指先の皮膚が赤くなり、剥離している。

4)鼻孔周囲の皮膚が痒くてムズムズするので、いつも手で触ってしまう。触るとおさまる。鼻水は出ていない。小学校時代からずっと続いている。

つまり、手足の爪と鼻孔の周りの炎症である。東洋医学の鍼で治したいと来院されました。

4.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から治療方針を決定した。治療方針に基づいて、鍼術で経絡の気の調整を行なう。病は「体質改善」して根本的に治すことが鉄則だと2千年前から言われています。病にはそれを引き起こす「病因」(結果ではない)が必ずあり、それを取り除くことが「体質改善」です。
鍼は細く柔らかい直径0.15ミリ程の銀製(毎回、新しい鍼)で、皮膚に非常に浅く刺して気の調整を行う。しかし、患者様に鍼を刺された感覚はありません。そこで気の不足を補い、過剰を抜き去り、または気の働きを妨げる邪気を取り除き、そして気の滞りを流す。この「気の調整」が当院の最大の特徴です。肘から先の経穴(つぼ)と膝から下の経穴を使い、鍼を以って皮膚全体に広がる気のネットワークの「動態平衡」を修正し、生命を統制します。この患者様の『爪周囲炎』はその平衡が崩れて発症しています。鍼術は経穴に鍼を刺して抜くだけでは、症状を一時的に和らげることはできても根本治癒は難しい。根本治癒には「気の調整という鍼術の手技」が必要で、施術者の身体を通して指から患者様の体に作用します。鍼はあくまで、精密な連絡橋です。

右手指、および左足母趾の爪周囲炎は下の写真のように、掻痒と炎症、および化膿が起こっている。手指には皮膚の剥離が起こっている。

【写真】は右手指、および左足母趾の爪周囲炎および爪母基炎(治療前)(黒い所は鉛筆の芯で突いて痒みを抑えた跡です)

 

(2回目)右手指の爪周囲が痒くなくなってきた。左足母趾は痛くて、爪の横が化膿し膿が出ている。いずれも爪周囲炎がある。鼻孔は痒みが減ってきた。

(5回目)右手指の爪周囲炎は痒みが取れてきたが、爪の生え際、すなわち爪母基の炎症は残っている。患者様は、左足母趾の爪周囲が痛くて歩けないので病院へ行った。病院では「巻爪」と診断し、爪の両側を切り取って爪の指腹側にテーピングを施して爪の両側を引っ張り、包帯をしている。しかし、巻爪とは思えない。患者様の今の体質変動からも、それは考えにくい。当院は、爪周囲炎と爪母基炎として皮膚を中心に、痛みは化膿が原因と考え治療をした。

 

(7回目)左足母趾の爪の両側を切除したところが化膿し膿が溜まって、血も出ている。母趾の皮膚が腫れ、剥離している。鼻孔の痒みはない。

 

(10回目)左足母趾の爪周囲炎がまだ痒い。患者様は歩いたり走ったりすると痛いので、再度、病院外科へ行かれた。爪にワイヤーを貼り付けて来院した。巻爪の処置という。

 

(12回目)右手指の爪周囲炎はもう無い。病院では左足母趾の爪のワイヤーを外した。左足母趾の爪の横に化膿があり、爪母基には炎症が残って痒い。

 

(13回目)手指も足趾も、爪周囲炎がよくなってきた。痒みと化膿も治っている。

 

(14回目)手指も足趾も爪周囲炎がなくなり、綺麗になった。痒みも痛みもない。治療を終了した。

以上

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