嗅覚障害/頻尿、不整脈【治験例2】|あん鍼灸院

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嗅覚障害

1.主訴

嗅覚障害/頻尿/不整脈

2.患者様

60歳代前半 男性

3.現病歴と症状

1)嗅覚障害がある。良い匂いがあまり感じられない。鼻の近くまで持ってくると、漸く匂う。嫌な匂いは感じる。味覚に異常はない。

2)頻尿がある。特に、朝はその頻度が激しくなり、1時間以内に1回の頻度でトイレにゆく。

3)不整脈と心電図の波形異常がある。

東洋医学の鍼で治したいと来院されました。

4.嗅覚

嗅覚は鼻腔の天井部分にある嗅上皮の嗅細胞によって感受される。息を吸い込むと空気の大部分は中鼻道および下鼻道を通過するが、一部が上鼻道を通って嗅上皮に向かう。この空気中の臭いの分子が嗅細胞を刺激する。嗅細胞は神経細胞で匂いの分子を感受して受容器電位を発生する。嗅細胞の軸索は嗅神経となって大脳の嗅球に投射する。

この患者様の嗅覚障害の原因の一つは湿熱である。これを解消する治療をすれば良い。

図.鼻と嗅覚 (引用;解剖生理をおもしろく学ぶ)

5.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から治療方針を決定した。それに基づいて、鍼術を以て経絡に対し気の調整を行なう。病は「体質改善」して根本的に治すことが鉄則だと2千年前から言われています。病にはそれを引き起こす「原因」(結果ではない)が必ずあり、それを取り除くことが「体質改善」です。
鍼は細く柔らかい直径0.15ミリ程の銀製鍼(ディスポーザー)を使い、皮膚に非常に浅く刺して気の調整を行う。しかし、患者様に鍼を刺された感覚はありません。そこで行う「気の調整」が当院の最大の特徴です。肘から先の経穴(つぼ)と膝から下のそれを使い、鍼を以って皮膚全体に広がる気のネットワークの「動態平衡」を修正し、生命を統制します。この患者様は、健康を維持する動態平衡が崩れて発症しています。鍼術は経穴に鍼を刺して抜くだけでは、症状を一時的に和らげることはできても根本治癒は難しい。根本治癒には「気の調整という鍼術の手技」が必要で、施術者の身体を通して指から患者様の体に作用します。鍼はあくまで、精密な連絡橋です。

(6回目)良い匂いが、薄いけれども臭うようになってきた。日中の『頻尿』が気にならなくなってきた。

(11回目)匂いがわかるようになって来た。嗅覚障害』が治ってきた。

(22回目)最近、クチナシの花の香りもわかるという。

(26回目)顔つきと顔色が以前より、良くなっている。人間ドックで検査したところ、これまで『不整脈』があり、昨年は『心電図の波形が変調』していたが、今年はそれが全くなかった。病院ドクターからは検査後「心電図の乱れがなくなっている」と診断された。

(29回目)インフルエンザに罹った。熱は37.5度で、5日をもって治癒した。病院にも行っていたが、その治癒の早さに病院のドクターがびっくりしていたと言う。かなりの症状がなくなり、免疫力が向上してきたと感じる。

(31回目)定期検診を、人間ドックの半年後に実施している。人間ドックで毎年、要注意と言われていた心電図の異常波形と不整脈はもう、ない。

(46回目)体の異常はもうない。

(49回目)ところが、首に炎症が起り、腫脹と圧痛があった。さらに38.5度の発熱があった。今までと同じ治療を行う。

(50回目)49回目の治療のすぐ後に炎症と腫脹、圧痛はなくなり、熱もすぐ下がった。

(57回目)患者様に脈状が綺麗になりつつあることを伝えた。血脈の中を血液が層流をなして流れているようだ。『嗅覚障害』はもうない。完全に脈の変動がなくなるまで数回続ける。

(60回目)午前から日中の『頻尿』はもうない。1.5時間に1回くらいになっている。症状も脈の変動も何もなくなった。

(62回目)2週間後に脈診を行ったところ、依然として脈の変動も症状もなかった。治療室に入ってこられた時、アレっと思った。会話は速いし、歩調も速い。様子がガラッと変わっていた。体調は大変良好という。

(64回目)脈の変動は6回続けて平常(血液が層流をなして流れている)を維持している。筋肉がずっと柔らかだったが、締まっている。声はこれまでは少しかすれていたが、大きくて通る声になっている。症状は何もなく根本治癒した。本日で治療を終了した。

以上

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