東洋医学からみる『胎児の世界』|あん鍼灸院

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『胎児は…僅か1週間で、あの1億年を費やした脊椎動物の上陸史を夢の如くに再現する』
(三木成夫)

胎児は受胎後しばらくして、軟骨魚類から爬虫類、哺乳類の顔貌を次々とその面に漂わせ、最後にヒトの顔になるという。ヒトの顔にサメやクマなどの「面影」が浮かぶのを見て、どこか懐かしく感じるのも理由のあることなのだ。ヒトと他の生き物とを、差異ではなく連続のほうから見ること。解剖学者の「胎児の世界」から。
(哲学者:鷲田清一さんのことば 朝日新聞2015/8/19)

 

当鍼灸院に来ていただいた患者様に東洋医学の概念をお話ししている。

宇宙にビッグバーンが起こり遠心性の力が働く。宇宙が膨張し長い時間を経て、中心にある質量の重い物体に求心的に引き寄せられ衝突し、それを繰り返すことで地球や星々ができた。太陽系では太陽を中心に、惑星は一定の軌道を一定の時間で回転する。その宇宙と地球のもとで生命体は生まれ、そして変化成長し、ヒトはいま宇宙と地球の影響を身体に受けている。その宇宙と地球の変化、例えば気圧が変化したとき、ヒトがそれに対応できずに病になる。おおよそ身体には遠心性の力と求心性の力が働き、および生命維持の平衡状態(動態平衡)を保っているが、それが崩れて病になる。そして、体内の体質変化から様々な内因性の病に罹る。体外からのウイルスの侵入を防ぐために戦い、戦いが終わるまで病になる。寒さや暑さにやられて膀胱炎になる。高湿度や高温度にやられて熱中症になる。病気も又、自然現象である。地球の自然全ては宇宙の法則に基づいている。東洋医学はその森羅万象を体と心と病に理路整然と関連づけている。この医学は、病気という体質変動に対して体という小宇宙の中で気の平衡を整え、元気な体と心を持つ健康体質を取り戻すことを目的とする(『宇宙・世界の本質は陰陽一気で成り立ち、陰陽の「対立」と「統一」によるものである』という陰陽論の考え方に基づいている)。

 

地球ができるときに周りの星の氷を取り込んだ。化学的に分解していた水素と酸素が、雷などの電気によって再合成されて海ができた。生物の変化成長は、海の中で宇宙の影響を受けて地球に有機物が発生し、それが地球という環境の中で代謝という機能を取得したことから出発する。食べ物を取り込み、自分の体の中でエネルギー(後天の気)を作る。それを使い成長する。水があったことから、その中で色々な生物に変化した。ヒトもまた、羊水という水の中で成長し、空気という気体の中に生まれてくる。

 

生物の上陸史は、海藻が陸地に上陸し草木になり森を形成することから始まる。そこに食物を求めて動物が海から陸地に上がってくる。呼吸方法が変わる。魚類が爬虫類に、あるいは両生類になる。爬虫類の中から前足に羽毛が生えて翼の様になり空を飛ぶ鳥類になる。爬虫類の中から哺乳類が発生し長い時間を経てヒトにも変化してゆく。その連続の流れからみると、魚類も爬虫類も自分たちの祖先である。血液の成分もよく似ていて海の成分からできている。おおむね四肢があり脊椎があり頭があり皮膚で覆われている。内臓もよく似ていて神経や血管もほぼ同じである。身体の恒常性、つまり健康を保つ仕組みは皆、同じである。アメーバなどの原初生命体は、その機能以前の生命体である。そこにも代謝という機能があり生命を維持している。それも細胞膜という袋の中で。原初生命体には脳がない。今でも脳がない生物はいる。ならば、どこで生命の恒常性を維持しているのか? そう考えてゆくと、分からないことだらけである。今も宇宙のこと、地球のこと、海のこと、大地のこと、大気のこと、生命のこと、病のこと、自分のこと、分からないことだらけだ。科学が将来、全てを解決してくれると科学者はいう。しかし、ごく一部はわかっても、その全体の解明は程遠く不可能であろう。

 

では、身近な病にどう対処するのか。科学者は、近い将来、画期的な遺伝子治療成果で病を根本的に治せるようになるという。そうだろうか? その答えは『46億年続く地球の自然に、そして38億年続く地球生命体のありのままに忠実であることのみが、病を根本的に治す』と考える。

以上

 

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