1. 主訴
不妊症/子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)・卵巣嚢腫
2.患者様
40歳台前半
3.現病歴と症状
1)14年前、左卵巣チョコレート嚢胞(子宮内膜症)が見つかった。当時、3cm位だった卵巣は、現在、6~7cmになっている。子宮内膜細胞からの出血が貯まっている。しかし、痛みはない。同じ卵巣に卵巣嚢腫もあった。
2)7年前、子宮筋腫が見つかった。筋腫は10cmのものが1個、および小さい筋腫がたくさんあった。左寄りの子宮筋層内にあった。腹部が腫れてきたので、昨年の春、10cm位の筋腫を手術で摘出した。手術前にはめまいが良く起こっていた。起き上がろうとすると天井がぐるぐると回っていた。
3)2ヶ月前、病院で不妊治療(体外授精移殖1回)を行ったが、妊娠できなかった。
4)基礎体温は、体外授精移植以来、不調である。高温期が生理の後、すぐ始まった。
5)歩行時、足の裏に違和感があった。
6)冷え性がある。
当院で鍼灸治療をして妊娠ができる体質にしたいと来院されました。体質改善ができれば、体外受精移殖をしたい希望がある。脈診からその体質を読み取り、体質改善してゆく必要がある。
4.治療結果
(1回目) 脈診と腹診、および問診等から体と病、および十二経の「陰陽虚実」を診て治療方針を決定。鍼で全身の経絡調整を行い、治療を開始。よく体質改善と言われる が、妊娠がなかなかできないのは、その原因となる『病因』が必ずあります。その病因を治すことが目標です。この患者様の場合、子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)と子宮筋腫、および卵巣嚢腫の治療をすることが妊娠できる近道だと考えます。また、これらに伴って基礎体温を安定させることが大切です。
(4回目)子宮付近が、お腹を抱え込む程にギューと痛かった。生理痛とは違う痛みであった。2時間後に排便があって、急に治った。生理はなかった。排便痛も無い。
(5回目)同じ治療方針で鍼治療継続。現在、高温期である。基礎体温が一定になってきた。腹部の痛みが減少してきた。病院で卵巣を超音波診断で診察したところ、卵巣の大きさが2ヶ月前の10月(治療開始1ヶ月前)は6~7cmであったものが、今12月は、5.3cmになっていた。腹部の痛みは弱くなった。
(8回目)足の指を自力ではほとんど動かせなかったのに、母趾・次趾・中趾が反るように動かせるようになった。
(9回目)さらに、足のすべての指が動くようになった。腹部はもう痛くない。
(14回目)同じ治療方針で鍼治療継続。翌年、3月に病院で再度、超音波検査をしてもらった。卵巣は左右とも大きさが3cmで正常だった。12月に卵巣嚢腫のようなものもあったが、今はこれが嚢腫かなという程度で十分確認できなかった。子宮筋腫は筋層内に1cmほどのものが1個あった。病院で来月に採卵をすることになった。
(15回目)遠方よりの通院で、採卵のために1ヶ月間、鍼灸治療を休んだ。再来院10日前に病院で採卵をした。2個採卵できたが、胚盤胞まで分割しなかったので凍結保存しなかったようだ。この後、生理があったが、月経血がさらさらの鮮血だった。以前は黒ずんでいて、固まりもあった。
(17回目)疲れ易かったが、このところ体の調子が良く、急に元気になったとのこと。今後は暫く自然妊娠も目指すことにした。
(20回目)鍼 治療継続。このところ、基礎体温が低温期に36.0~36.1度だったのが36.4~36.5度に上昇した。また、高温期に36.7~36.7度だったの が37.0度まで上昇した。生理周期は24日。舌の裏の血管が、これまで色が黒く太い血管であったが、鍼治療を進めるにつれて、次第に肌色の血管に変化し きれいになった。子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)は治癒したと考えられる。冷たかった手掌が温かくなった。排便が1日1~2回あり体調が良い。
(24回目)患者様の母上から「顔色が最近、良くなった。何かしているのか」と問われたそうだ。「鍼をしている」と答えたとのこと。鍼治療継続。脈状はなくなっていた。
(30回目)鍼継続治療。これまで食事中、汗を全くかかなかったが、汗が出るようになった。体が体温調節できるようになったと考える。これまでは、皮膚の汗腺(皮毛とい う)を調節することがうまくできなかったが、治療によってできるようになり、体質改善している。これから採卵をするが、遠方のため、ほぼ1ヶ月鍼灸治療を休むことになった。
(31回目)病院で胚盤胞を1個、採卵できたという結果をいただく。鍼治療継続。
(37回目)来月、胚移殖のため、鍼灸治療を休む申し出があり、ここで中断した。
この後、体外授精の移殖を実施。妊娠の陽性反応がでたと喜びの連絡があった。4週と3日であった。患者様の都合にて、治療は今回で終了した。
翌年、3,300グラムの元気な男の赤ちゃんが誕生したと、お写真と共に連絡を受けました。
患者様は、卵巣の子宮内膜症である「卵巣チョコレート嚢胞」や「子宮筋腫」などがありました。また、基礎体温も正常ではありませんでした。しかし、鍼灸治療でそれらを根本治癒させることによって、40歳を超えての妊娠が可能になったと考えます。
以上
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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院
香川県高松市木太町1247-11
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