肘関節痛/外反母趾/ヘバーデン結節【治験例1】|あん鍼灸院

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ヘバーデン結節

 1.主訴

肘関節痛/外反母趾/ヘバーデン結節

2.患者様

50歳代前半 女性

3.現病歴と症状

1)肘関節痛(主訴)

4ヶ月前からインドアテニスをしている。右手を使いフォアハンドでボールを打つと、右手前腕肘関節の小指側が痛くなった。物を持ち上げたときに特に痛い。何もしない状態でも痛い。睡眠中も眠れないぐらいに痛い。

2)外反母趾

右足母趾の第2関節部内側に炎症と疼痛が起こり、母趾が外側に曲がっている。足の母趾第2関節は骨が膨隆し大きくなっている。外反母趾である。さらに、右足第2趾第2関節にも膨隆があり痛い。

3)ヘバーデン結節

2~3年前から手の母指以外の手指第1関節に膨隆が起こり出した。痛みと骨棘がある。全指、特に中指が朝、動かし始めに痛い。

それで、東洋医学の鍼で治したいと来院されました。

4.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等に基づき、気の変動が起きている経絡に対して、鍼術で気の調整を行なった。

病は「体質改善」して根本的に治すことが鉄則だと2千年前から言われています。病にはそれを引き起こす「原因」(結果ではない)が必ずあり、それを取り除くことが「体質改善」です。

鍼は細く柔らかい直径0.15ミリ程の銀製鍼(ディスポーザー、一回きり使用)を使い、皮膚に0.1~0.2mm程、非常に浅く刺して気の調整を行う。しかし、患者様に鍼を刺された感覚はありません。そこで行う「気の調整」が当院の最大の特徴です。肘から先と膝から下の経穴(つぼ)を使い、鍼を以って皮膚全体に広がる気のネットワークである経絡「動態平衡」を修正し、生命を統制します。

この患者様もまた、恒常性を維持する動態平衡が崩れて発症しています。鍼術は経穴に鍼を刺して抜くだけでは、症状を一時的に和らげることはできても根本治癒は難しい。根本治癒には気の調整という『鍼術の手技』が必要で、施術者の身体を通して指から患者様の体に作用します。鍼はあくまで、患者様と施術者の精密な連絡橋です。

(2回目)テニスのフォアハンドは屈筋が収縮して緊張している。そこにボールの衝撃が加わり、筋肉が伸展する。その時、筋肉の付着部に力が加わり痛みが起こっている。そういう作用機序からこの症状が起こっている。しかし、その根本的な原因は、元来の体質が変化しており、その経絡の気の変動から起こっている。それを治療する。1回目の治療で『肘関節痛』は70%に減少した。

(8回目)前回の治療後は、テニスを1週間していない。肘関節の痛みが、消えていた。しかし、90分間のテニスをすると痛みが出てくる。それでも当初の50%に減少している。

(11回目)テニスをした後でも痛くない。現在(治療10日後)では、肘関節痛は20%に減少している。

(16回目)ハサミを使うと指の第1関節部に引っかかり、痛い。また、第1関節に何かが当たると痛いと訴える。診断から『ヘバーデン結節』である。

(30回目)肘関節痛』がなくなった。以降、ずっと痛くならなかった。しかし、『外反母趾』が2~3日間、痛かった。歩かなくても、じっとしていても痛い。

(31回目)外反母趾』の関節部の赤い炎症が薄くなってきた。治療開始時の写真はないが、右足の母趾第2関節内側に炎症と疼痛・腫脹がある。その母趾第2関節は骨が膨隆し大きくなって、母趾が外側に曲がっている。右足第2趾第2関節にも膨隆があり痛い。

(写真1)母趾第2関節内側(外反母趾)、および第2趾第2関節の炎症と疼痛(右足)

(34回目)ヘバーデン結節』の痛みがなくなった。以降、痛みが出なくなった。

(42回目)右足第2趾の第2関節が、まだ腫れて痛い(写真1)。

(49回目)外反母趾』と足の第2趾第2関節、共に痛みなどがなくなった。

(50回目)喉が痛くなり、咳がひどく出た。翌日、熱が37.2度あった。病院耳鼻科へ2カ所行ったが、5日間、咳がおさまらず、夜、眠れなかった。ガンガンする頭痛もあった。病院では、レントゲン撮影(異常なし)とCRP3.3で扁桃炎と診断され、ステロイド吸入した。咳は止まらなかった。

鍼治療を行なって、2日間は咳があったが3日目には消失した。その後、咳と頭痛は出ていない。

(53回目)体に現れている症状がなくなってきた。痛み等を感じない日が1週間、続いている。

(58回目)全ての症状がなくなった。さらに脈診で、経絡の気の変動が少なくなってきているのを確認できた。

(写真2)外反母趾と足の第2趾第2関節の炎症と疼痛が消えた。

(63回目)さらに6回の治療を続けた。全ての経絡の脈状は、正常な気の流れを呈した。症状は何もなくなり、さらに経脈の変動もなくなり、根本治癒している。この後、1ヶ月毎に3回ほど検証する。それで脈状や症状が維持できているならば、半年または1年後の最終チェックで治療を終了することにした。外反母趾は、一度付いてしまった骨棘がすぐ消えることはない。しかし、もう大きくならないのでそのままか、骨の動態平衡が正常になっているので時間をかけて小さくなると考える。第2趾第2関節も同様である。

(写真3)外反母趾と足の第2趾第2関節の炎症と疼痛は、もうない。

(64回目)前回より1ヶ月経過。脈の変動がなくなっているままだった。あと2ヶ月目と3ヶ月目の2回の治療を続けてゆくが、もう脈の変動は、再び起こらないだろう。何も症状のない日が、ずっと続いている。

以上

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脈診経絡はり治療専門
あん鍼灸院

香川県高松市木太町1247-11
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