爪甲剥離症【治験例12】|あん鍼灸院

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爪甲剥離症

 

1.主訴

爪甲剥離症

2.患者様

20歳代後半 女性

3.現病歴と症状

1)爪甲剥離の状態

右手母指に爪の剥離がみられる。半年前の12月から爪の剥離がみられた。

2)爪の形や色

問題の爪は、凹凸がみられ、さらに、黒い線がみられた。爪根には炎症がみられ、皮膚は赤くなり皮膚の剥離がみられた。

(写真;治療結果1回目参照)

4.爪の構造と爪甲剥離

(引用;gooヘルスケアより)

4-1.爪の構造

爪部は「爪甲」という。爪の根元「爪根」の皮膚が覆う爪部を「爪母または爪母基」という。ここでは、爪の細胞分裂が盛んに起こり、爪は先の方に成長してゆく。「爪半月」は細胞がまだ若く組織が規則正しく整列していないので爪が白く見える。「甘皮」と呼ばれる「爪上皮」は、爪甲の上面と皮膚を隙間なく接着して細菌やウィルス、汚れの侵入を防いでいる。爪先の下にある爪と皮膚(角質層)の間を隙間なく埋めているところを「爪下皮」という。「爪甲」自体は、その下にある毛細血管をもつ「爪床」という組織間で接着していて薄桃色に見える。

4-2.爪甲剥離

爪甲と爪床間は、コラーゲン線維で固く接着しているが、そのコラーゲン線維の架橋という接着性能が低下すると簡単に剥離する。ここに隙間ができ、爪床部は硬く角質化し、爪は白く見える。これが『爪甲剥離』です。

この爪甲剥離症状は、患者様の体質の変化、すなわち病を反映している。「体質変化が起こっているよ、病に気をつけなさいよ」という最初の信号です。爪は体質の変化を端的に現し、爪の変形(巻爪や凸凹、横縞や縦縞、スプーン状)や変色(黒や黄色、白色)、爪の剥離、強度の低下(もろくなる)などを呈する「病の情報発信器官」なのです。私たちは、患者様の手足の爪や指の状態を必ず診て、体の変化を察知します。それらと他の症状、脈診を以って、東洋医学の枢軸である陰陽五行論に基づき、体質変化を治療する方針を導きだします。

5.治療結果

(1回目)脈診と腹診、および問診等から体と病、および経脈十二経の「陰陽虚実」を診て、五行理論を以って治療方針を決定。鍼で全身の気の調整を行う治療を開始。病は「体質改善」して治すとよく言われます。病にはそれを引き起こす「病因」が必ずあります。「病因」とは経脈十二経の気の変動をさす。それを治すことが「体質改善」であり「根本治療」です。初回の鍼治療を行う。

(写真)『右手母指の爪甲剥離、爪根部皮膚の炎症と剥離』(治療前)

爪は、爪甲剥離、凹凸および黒い線がみられる。さらに厚くなった爪上皮や爪根部の皮膚炎症と剥離もみられた。黒い線は爪床にあるメラニン細胞がメラニン顆粒を産出して、それが爪の成長と共に上がって行くために線状になる。

(6回目)剥離境界線が上がり剥離部分が小さくなった。爪の黒い線も爪の伸長とともに消えつつあるが、中程に黒い痕跡がある。爪上皮を切り取ってしまっているので残しておくよう伝えた。

(7回目)爪全体が伸長し、爪甲剥離部分がさらになくなってきた。

(9回目)爪甲剥離部分の境界がかなり上がって良くなってきた。爪根部の炎症が消失した。

(12回目)境界がさらに上がってきた。黒い線も上がって爪の先端に到達した。

(14回目)爪が伸びて、黒い線が消えた。爪甲剥離部分はなくなり綺麗になった。脈は2経の変化があるのみで、他の経脈は正常な脈に戻っていた。

 

(15回目)母指の爪甲剥離は治癒した。爪上皮も綺麗になった。本日をもって治療を終了した。のちに母指でないような写真なので、ご本人に確認しましたところ間違いなく母指でした。美しいです。

以上

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